ひどく寒い日でした。

陽は落ち、雪も降り、今年最後の夜、一人のノビがとぼとぼと道を歩いていました。

外はどんどん寒くなってきたけれど、ノビは家に帰る事ができませんでした。

今日売るはずだったマッチが全く売れなかったので、1z も持って帰れないからです。

このまま帰ったら、師匠(ぐうたら Wiiiiiiz)に SS9 を喰らわされます。

そんな事されたら、死にます。

ノビの小さな両手は、寒さのため、すっかりかじかんでいました。

ちょっと慘めな気持ちになっていました。

「暖まれば、ホっとできるかな。」

そう思ったノビは、鞄からマッチを出しました。

シュッ!

マッチに火が灯り、ぽぉーっとあたりは明るくなりました。

柔らかくて、ほんのりで、じんわりで、とても優しい炎でした。

炎の向こうに、部屋が見えました。

暖炉には、薪が燃え盛っており、とても暖かそうでした。

テーブルには、おいしそうな料理がいっぱいに並んでいました。

もみの木には、欲しいなぁと思っていたほお紅がかかっていました。

…。

…。

…。

…。

…。

やがて、マッチの火は消えました。

ノビは気付きました。

「そういや、マッチ一本しか持ってなかったんだっけ。」